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2007年3月 1日 (木)

木槿(むくげ)の咲く庭

木槿の咲く庭 『木槿(むくげ)の咲く庭』リンダ・スー・パーク著は、装丁も美しくとても好きな本。
妹スンヒィ10歳と兄テヨル13歳の2人の語りによって物語が進む。
子どもの感性が真実と本質を見つめ、素直な心そのままに心に映ったものを描写していく。
舞台と時代は、日本統治下の朝鮮、大邱(テグ)郊外の小さな街の1940年からの5年間。
読む前に抱いていた、どれだけ重苦しい思いに落ち込むのだろう・・・との不安をみごとに打ち砕いてくれた。

もちろん、日本という国による植民地支配の具体的な政策、創氏改名で名前を奪う、日本の代表的な花である桜を普及させる為に木槿(むくげ)の木を根こそぎ廃棄させる、食糧や資源を奪う、兵役や労働を強制する・・・等の展開に改めて向かい合うのは心穏やかではない。
でも、スンヒィの感性は「国」が為すしわざと「人」をきっちりと区別する。
スンヒィにとっては小さいときからの日本人の友だち「友くん」も、親日派(チニルパ)の家の子であるジャンシンも大切な友だち。

自分自身はとっくに子ども特有の素直な感性と表現を失ってしまったけれど、読んでいる間はしばしスンヒィの心のフィルターを借りることができる。
それが為、読後感はとてもさわやか。
もちろんそれは「一服の清涼剤」といった泡と消える性質のものではない。
もっとしっかり日本と朝鮮の歴史を知りたいと思う気持ちにさせてくれるのに、そこに自虐も気負いもないことのさわやかさ。
あるのは朝鮮という国やその国にすむ人たちへの親しみ、というさわやかさ。

日本の子どもたち、いや韓国や北朝鮮の子どもたちにも、ぜひこの本を読んでほしい、できれば副読本にと願う。
(もちろん大人たちにも読んで欲しい)

朝鮮の人々は「次々と力強く花を咲かせる木槿の姿に『どんな圧迫にも滅びることのない永遠の力』を感じる」と、あとがきにある。

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コメント

りんさん、こんにちは。違う国に友人をもつことは、てっとりばやくその国を知る入り口になりますね。

>スンヒィの感性は「国」が為すしわざと「人」をきっちりと区別する

とおっしょるように、友人を通して「国」から「人」に視点が切り替わる。そこでの出来事が、他人事ではなく心配の種になったり、喜びの材料になったり。特に「嫌なんとか」というようなキャンペーンは、理解を遠ざけます。

私も韓国に友人がいるおかげで、いろんな場所に行くことができました。韓国で天候被害などがあると、本当に心配になります。そして、子供たちには、しなやかな視点を持ってもらいたいと思いますね。

これは、障がいを持った人に対するものとも似ていて、子供たちには、出会う、知り合いになって、その人自身と一般的な「」つきの障害者をわけて考えるようにと、いろんな活動に一緒に行きました。「障害者」って名前の人はいないのですから
「~人」って人もですよね、その人であって、国がその人ではないですから。長々とすいません。

りんさんの感性に共感します。

投稿: pianocraft | 2007年3月 5日 (月) 10時32分

pianocraftさん、こんばんは。
モノの本質が見えない、というのは悲しいです。
本質を見ているつもりで実は見ていないというのも。
見えなくさせているものは偏見や先入観、という場合も多いですね。

私は韓国に友だちもおらず残念ですが、映画とか書籍を通じてとても韓国という国に惹かれています。
ここでもエントリーしたのですが、 いつか(なるべく近い内に)「ナヌムの家」を訪れ『咲ききれなかった花』の絵も見てみたいです。

投稿: りん | 2007年3月 6日 (火) 20時30分

りんさん。わたしもそうです「ナヌムの家」行きたいです。中国もまた。韓国で、以前お年寄りたちが、日本語で話しかけてくれて、嬉しいけど悲しい気持ちになったりしました。韓国では、お年寄りの給食サービスで皿洗いしたり、韓国語の歌うたわせてもらったのです。そんな旅をまた、したいです。

投稿: pianocraft | 2007年3月 6日 (火) 23時53分

>日本語で話しかけてくれて

本当にそうですね・・・。
この物語のスンヒィもとても聡明な子なのに、母国語を読んだり書いたりできません。
それはやはり「奪われた」と表現すべきものだと思います。

pianocraftさんの旅、ステキですねぇ。
私は韓国に知り合いもいないので、観光旅行ではない旅行の計画をどうたてればよいのか?そこから始めることになりそうです。

投稿: りん | 2007年3月 7日 (水) 00時18分

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