『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』
観たい映画がたくさんある中で、若松孝二監督『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』を最優先とした。
「社会変革」を目指して鮮烈に生きた若者たちと、その時代背景をぜひとも知りたかった。
50%を超えたという「あさま山荘」突入の実況報道番組に見入っていた1人でもある。
大学入学そうそうには、構内で赤いヘルメットをかぶりマスクをした一群が真横を駆け抜けていき、度肝を抜かれた。
それでいて、目の前で見えていても、自分にとっては「あさま山荘」のテレビ中継と同じく、まるでドラマの世界のような感覚しかなかったことを覚えている。
当時は、同じ世代の彼、彼女らが何を考え何をやろうとしているのかなど、全く関心がない生活をしていた。
映画は大まかにみて3部構成。
ニュース映像をたくさん使いながら激動期の世界を描いていくところから始まる。
1960年の安保反対闘争、ベトナム戦争、ケネディ大統領の暗殺、中国の文化大革命、パリの5月革命、そして日本の学費値上げ反対闘争や三里塚の戦い・・・。
世界的な時代のうねりの中で社会正義を求める若者たちが活動に身を投じ、党派内闘争を経て連合赤軍が結成されていく。
その経過は、具体的でわかりやすい。
12人が犠牲となった「総括」も克明に描かれる。
そして、いきついたところが「あさま山荘」での抵抗戦。
若松監督所有の別荘を実際に壊しながら撮影されたとのことであり、リアリティに富む。
かつて見たテレビ中継を思い出させるが、そこではうかがい知ることができなかった内部の状況を連合赤軍側から描き出す。
徹底検証に基づいて制作された190分は、集中力を途切れさせず見応えのあるもの。
若松監督は言う。
「あの時代、彼らは何に怒り、立ち上がり、全てを捨てて闘おうとしたのか、権力側からの視線でなく、実録としての作品を残す」
その思いは確かな形として残ったに違いない。
それでも・・・やはり私には相変わらずわからない。
「武器によるせん滅戦」による勝利(目的達成)の目算はあったのか?
なぜ、「総括」と名を打った仲間への余りにも凄惨な暴力を為し得たのか?
同じ時代に生きていながら、「連合赤軍」の若者たちに思いを馳せたことはなかったけれど、遅ればせながら、やっと少し考え始めた。
いまのところ、「狂気」としかとらえることができないものの、ではなぜ社会正義を目指していたはずの彼らが、正義とは程遠いその「狂気」に陥ったのか・・・?
それは、たとえ「実録」の力作であっても、鑑賞すればわかる、といった安易なものであるはずもない。
学生運動とは全く関わりなく過ごしたけれど(衰退期ではあった)、もし友人がそのメンバーであり誘われたなら自分もその「狂気」とは無縁であり得た、という自信はない。
そんな風に考えてしまうほど、映画で見た彼らは身近な存在のようにも感じた。
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コメント
りんさん、こんばんは。
あさま山荘事件については、「突入せよ!「あさま山荘」事件」(2002年)と「ドキュメント連合赤軍「あさま山荘」事件」(2002年)の2本の映画がありますが、どちらも警察側の視点から描かれたもので、あさま山荘内の連合赤軍の視点から描かれたものはありませんでした。その意味で、後者の視点から描かれたこの映画はとても貴重なものだと思います。
関係ないかもしれませんが、数年前にメキシコに行ったとき、今でもマルクス主義が(一部かもしれませんが)人々の希望と結びついていることを知り大変感動しました。街角の露天商には誇らしげにゲバラの写真が飾ってあり、国立宮殿の有名な壁画「メキシコの歴史」(ディエゴ・リベラ作)はインディオから始まりマルクスで終わっていました。近年のラテンアメリカでは左翼政権が相次いで誕生していますが、日本における左翼運動の歴史と比べるととても対照的だなぁと感じたものです。。。
投稿: koji | 2008年4月30日 (水) 23時28分
kojiさん、こんばんは。
学生運動とも全く関わりのなかった私ですが、卒業後に知り合った一人の若者に大いに影響を受けました。社会正義を熱く語り社会変革を目指した人でした。その人の方が3歳も年下であっただけに、社会のことに関心をもとうとしていなかった自分をずいぶん恥ずかしく感じたものです・・・。
遠い地に行かれて疎遠となりましたが、たまたま10数年後に再会。
ところが、「えっ、今じゃ全然そんなこと考えてないよ。そもそも活動したのって、1年くらいだけだよ」と言われてびっくり。(出世欲ばかり感じさせる人になっていました・・・)
私の中ではずっと「ゲバラ」でしたのに・・・。
しょうもないことを書きました。
本物のゲバラはホントにすごい。カストロの報道を耳にするたび、ゲバラのいないことの不条理と寂しさを感じます。もし生きていれば、どこの国でどのような活動をしたのでしょうね?
『突入せよ! あさま山荘事件」』は、若松監督も酷評していますが、私にとっても途中で観るのをやめてしまった数少ない映画の内の一つでした。
投稿: りん | 2008年5月 1日 (木) 22時18分