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2008年8月21日 (木)

『海に沈んだ対馬丸』

岩波ジュニア新書『海に沈んだ対馬丸』を読んだ。
平和・反戦への強い思いが感じられる早乙女勝元さんの名前や作品には数十年前からなじみがある。ブログにエントリしたこともあった。
この本はその早乙女勝元さんのお嬢さんの著書。
「へぇ~、娘さんが書かれたんだ」という興味から読んでみたのだけれど、とても読み応えのある作品だった。

海に沈んだ対馬丸 1944年8月22日夜、沖縄那覇港を発ち九州に向かった疎開船「対馬丸」はアメリカの潜水艦により撃沈され、775名の学童を含む1418名が亡くなっている。
知っていたつもりのその「対馬丸の遭難」に関して、全く知らなかったも同然だったことを思い至らされた。

著者はまえがきで語りかける。
「対馬丸は客船ではなく貨物船だったということを、まず知ってほしい。貨物船は人を乗せるのではなく、物を載せる船だということも

物資を運んで、人々に届けるはずの貨物船に、昔、大勢の子どもたちが乗りこんで、海をわたろうとして、遭難した。
彼らはどこへ行こうとしていたのだろうか。そしてなぜ沈んだのだろうか。」

続いて、対馬丸からの数少ない生還者の内の7人が語る本編へ入っていく。
当時17歳であった乗組員、19歳の引率教師、そして学童たちの具体的な体験とそれを綴る著者の視点は、「戦争とは」を深く多角的に考えさせる。

ジュニアはもちろん大人にもぜひ読んで欲しい。

アッパレな本を沖縄在住の早乙女愛さんは作り上げたと賞賛の思いがあるが、それにも増しての拍手を贈りたいのは、親から子への実にアッパレな継承。

反戦・平和への希求。
それを実体験に裏づけされた父・母世代から確実に受け継いでいかなければいけないとの自覚はあるが、さらにそれを子に伝えられたかについては自信がない。
見事、早乙女勝元さん(と奥様)は成し遂げられたよう。
すごいなぁ~。

もはや大きくなり日常的には生活空間を共にすることもなくなった私の子どもたち。
心に「平和の大切さ」は刻まれていると信じたいが・・・。

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コメント

りんさん、初めて書き込みさせていただきます。
少し前に「闇の子供たち」を読み、映画を鑑賞し、その頃からこちらのページに密やかに?訪問させていただいてますhappy01

今夜、「海に沈んだ対馬丸」の記事を読ませていただき、昨夜観た映画の高揚感が押し寄せてきて…。思わずキーボードをたたいている次第です。
映画「ひめゆり」を観てきました。ご存知かもしれませんが、沖縄の‘ひめゆり学徒隊’の生存者達の証言をおさめた記録映画です。

生の戦争体験を語り継いて下さる世代は、確実に減っているのですね。
でも、それはよいことだとも思います。私達は、今後決して‘実体験’を語ってはならないから…。
「ひめゆり」を観て、知っているつもりでいた自分に気づき、知ること、考えること、伝えることの大切さに改めて気づかされた気がします。

「海に沈んだ対馬丸」、読んでみようと思いますconfident

投稿: おけいはん | 2008年8月21日 (木) 21時27分

おけいはんさま、こんばんは。
ご訪問の上、コメントまで残していただいてありがとうございます。
「ひめゆり」は昨年からずっと観たい!と思い続けながらタイミングが合わずに叶っていません。
コメントを読ませていただいて、さらにその気持ちが強くなりました。
でも大阪七藝での再上映も今夜限り、う~ん、残念。
また時々、お薦めの映画や本などをコメントを通じてご紹介いただきましたら、とってもうれしいです!

投稿: rin | 2008年8月22日 (金) 19時21分

りんさん。こんばんは。
早乙女愛さんは、お父さんからしっかり反戦平和を引き継いでいます。
平和をつくる教育 「軍隊をすてた国」コスタリカの子どもたち /早乙女愛/〔著〕 足立力也/〔著〕 [本] も岩波ブックレットからでています。足立さんの講演を以前聞いて、購入しました。ご参考まで。

また、対馬丸の悲劇は沖縄の悲劇でもあります。大人である私たちも知らないことが多いですが、より意識して伝える努力をしないといけないのだと責任を感じます。

投稿: pianocraft | 2008年8月22日 (金) 23時30分

pianocraftさん、こんにちは。
早乙女愛さんの『軍隊をすてた国 コスタリカの子どもたち』、おもしろそうです。さっそく読んでみたいと思います。

対馬丸は貨物船で、そもそも船倉から人が脱出できる構造ではなかたことや、疎開には、沖縄に配属される兵隊たちの食糧確保の意味合いも大きかったことなど、この本には対馬丸の遭難を単に「戦争による悲劇」のイメージだけでは終わらせないものをしっかり書き込んでいました。
そのような「伝え方」がとてもいい、と感じられました。学びたいものです。

投稿: りん | 2008年8月25日 (月) 11時28分

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