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2008年9月14日 (日)

ペシャワール会「アフガン報告』

講演を聴きに行くのは随分久しぶり。
数日前、新聞大阪版で今日の「ペシャワール会」講演会が目に止まり、運よくシフトは休日にあたっていた。
大きい声では言えないけれど、講演者が中村哲医師でないのがちょっと残念。
実は中村哲医師の大ファン。
講演のお話の中で、中村哲医師のおじいさんが映画『花と龍』にも登場する若松港石炭仲仕の親分、玉井金五郎であることを知った。
私はけっこう明治時代くらいの任侠道というものに惹かれている。
筋を通す、弱い者をほっておかない、そして度胸と行動力(さらには絵になるかっこ良さ)・・・。
もちろん知っているのはホンモノの世界ではなく、緋牡丹博徒シリーズや高倉健主演で描かれる任侠映画の中だけなのだけど。
そんなわけで、出自を聞いてみれば、「なるほど!」とひとり中村医師が漂わす型破りの魅力のルーツに合点がいってしまった・・・。

さて前置きはこのあたりにしておいて、今日の講演について。
大阪中之島の中央会館で2時から4時まで。
講演者は「ペシャワール会」事務局長の福元満治さん。
1時半からの開場から講演開始までにスクリーンに映し出されたのは、かつて放映されたNHK『知るを楽しむ』の中村哲医師。見逃したことを大いに後悔していただけに、早く出向いたことでとっても「トク」をした気分。

長い戦乱で荒れ果てた上に2000年から始まったアフガンの大干ばつ。
中村医師は、井戸掘りやカレーズと呼ばれる現地の地下用水路の整備、さらには用水路の建設に乗出す。
独学で用水路工学を学び、現地に適応した材料(豊富にある石)と方法(現地の人は皆、石工といえるほど石の加工に長けている)で用水路を拓いていく。
用水路ができるとの話が伝わり続々と村に帰ってくる難民となっていた人たち。
彼らは、やがては自分たちの生活を支えるであろう用水路建設にせいを出す。
ペシャワール会が支払う多くはない日当が彼らの生活の糧。
初めて水を流した時の中村医師や現地の人たちの笑顔。
水が流れた地域に半年ほどで蘇った緑・・・。

講演でも福元氏により用水路建設を含むペシャワール会の活動が紹介された。
先のテレビ録画と共に、現地からの直接の報告はストレートに心に響く。
このような活動に携わっている人たちに心から敬意を表したいし、またそのような人たちがいることを誇りにも思う。

現地で語る中村医師の頭上で、「アフガンの民主化」という大義名分を掲げて爆音高くアメリカ軍の反政府勢力への攻撃ヘリが飛ぶ。
どちらの行為がそこに生きる人たちの力となるか、また自分はどちらの行為に賛同すべきか、それは余りにはっきりしている。
自分はただ賞賛と憧憬を感じるだけで何もできないけれど、これを機会にペシャワール会の会員にはならせていただきたい。

心身共にお疲れだろうに福元さんは弱音を吐かれはしないものの、やはり伊藤さんのことでは随分苦しまれていることは伝わってきた。
防ぎようがなかったとしても「死なせてしまったこと」の悔い、ペシャワール会に向けられている「生命をかけた」活動への非難・・・。

治安の悪化を感じてペシャワール会でもセキュリティ対策をとっていた。
それを超えて事件は起きてしまった。
伊藤さんの殺害者は難民キャンプで育った人であるとのこと。
難民キャンプは大規模で「本当に何もないところ」であるらしい。
何もないところで支配するのはお金。
アフガンの農民たちが難民になどならず、ふるさとの地で暮らせるよう全力を傾けられていた伊藤さんが被害に合われてしまったことは本当に悲しい・・・。

ペシャワール会の活動は、投げ出さず必ず継続すると福元さんは言われた。
会員にも一人の脱会者も確認されていないとのことだから、さまざまな非難をする人たちはむしろ「人ごと」の立場でものを言っているのだろう。

疲労困憊であったろうに予定通り大阪まで出向いてくださった福元さん、お世話になった大阪ペシャワール会の方々に感謝したい。
アフガンの現地に暮らす人たちとペシャワール会の息吹が伝わる講演をありがとう!

中村哲医師 中村哲医師とペシャワール会関係の書籍はたくさんありますが、まずは岩波ブックレットはいかがでしょうか。読みやすくわかりやすいです。

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コメント

りんさん。講演会にいけてよかったですね。素晴らしい内容であったことが伝わります。

中村哲さんを信奉される方は、沢山いらっしゃるでしょうね。私も尊敬してます。なおさら、今回の伊藤さんの死は残念でした。
中村さんが、TVでも日本の給油活動などの支援をやめるように、自分たちの民間の活動に危険がともなうからやめてほしいと訴えられていたのを思い出します。

そんな中で、悪化したアフガンの状況。オバマは、イラクから米軍を撤廃させるというけど、アフガンは増派とか主張するし。何が本当の支援かを考えてほしいものですね。

投稿: pianocraft | 2008年9月16日 (火) 17時14分

こんばんは。わたしも中村さんに魅力を感じています。長年にわたって地道に,すごいなぁと。伊藤さんが殺害された時のコメントも一番響いてきました。講演,よかったですね。りんさんが力をもらって,そのりんさんからわたしが力をもらえたような気がします。

投稿: KATEK | 2008年9月16日 (火) 20時58分

pianocraftさん、こんばんは。
講演で福元さんが「中村哲さんの講演会に参加されたことのある人?」と開場で問われると、半数近くがうれしそうにさっと手を挙げました。本当に「うれしそうに」が伝わってきました。人気ありますねぇ~。
ペシャワール会の大阪講演は年に一度は定期的にあるようです。
来年はぜひpianocraftさんもどうぞ。

以前は日の丸を掲げておけば安全であったが、自衛隊のイラク派遣、インド洋での給油活動等によってその保障はなくなってしまったと話されていました。

投稿: りん | 2008年9月17日 (水) 22時13分

KATEKさん、こんばんは。
おっしゃる通り、マスコミを通じたコメントも響くものでしたね。(町村氏などの発言は余りにもおそまつでした)
中村さんの講演がネットで見つかりました。
私もまだ聴いていません。(やっぱり生がいいですよね)
一応、URLはっておきます。
http://www.tv.janjan.jp/0808/0808280691/1.php/

投稿: りん | 2008年9月17日 (水) 22時14分

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