『医者、用水路を拓く』
「ペシャワール会」事務局長の福元満治さんの講演を聞いてから、中村哲著『医者、用水路を拓く』(副題:アフガンの大地から世界の虚構に挑む)を読み始め、手離すことのできない本となっている。
読まないときも、そっとそばに置いておきたい。
タイトル通り、医師である中村哲さんがアフガンの地で用水路を開くまで(2001年9月~2007年4月)の活動が詳しく記述されている。
また副題にあるように、「世界」が対テロ、国際支援といった名目でやっていること、またやらねばならないことの実態も鋭くえぐっている。
中村哲医師は、現場でもこの本でも観念的な論理展開や著述はしない。
現地にいて、現地で困窮する人たちに必要なものを見極めて、その改善のために行動する。
用水路建設は当初から計画していたものではない。
命を守り救うはずの医療人、それが2000年夏からアフガニスタンを襲った大干ばつによる深刻な飢餓と渇水の前では余りに無力。
清潔な飲料水と十分な農業生産があれば、病の多くは防ぎ得る。
そのように感じた中村医師に、無力感と妥協しながら、(自分は医師であるのだから)せいいっぱい医療活動を展開する」というような選択肢はない。
(必要なのが水であるなら)「百の診療所よりも一本の用水路」を合言葉に水源事業を始めてしまう。
(水路)工事に関しては全くの素人なのに、膨大な水量を10数キロにわたり流す用水路建設(工費は数億円)を決定する度胸。
それを完成させてしまう力量。
(その過程を知ると、これはもう奇跡としか思えない。計画を宣言されたときの中村医師の言葉そのまま「武器なき戦い」と表現されるべきもの。中村医師の精魂かけた戦いだった。)
そして感謝する農民に「水は神様からの授かりもの」と返す感性と驕りのなさ。
まえがきのしめくくりに「武力とカネが人間を支配する時代にあって、私たちの軌跡そのものが、平和を求める人々に勇気と慰めを与えればこれに過ぎる喜びはない。」と書かれている。
この本に記述された中村医師ならびにPMS(ペシャワール会)の活動が与えてくれるものは、勇気と慰めにとどまらない。
何より、今の時代を共に生きている人に中村医師のような人がいることがうれしい。
添えられている、豊富な水をたたえた用水路、その水で潤い緑を取り戻した農地などの画像は美しく、アフガニスタンという国とその地に生きる人々に想いを馳せさせる。
さまざまな示唆に富んだこの「宝物」のような本、ぜひぜひ一読を、とお勧めしたい。
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その河野義行さんの新著『命あるかぎり』を読んだ。
『ベルリン終戦日記』(著者は匿名)はその内の1冊。
1944年8月22日夜、沖縄那覇港を発ち九州に向かった疎開船「対馬丸」はアメリカの潜水艦により撃沈され、775名の学童を含む1418名が亡くなっている。
*裏表紙による作品紹介
当時、事故報道に衝撃を受けたし、大内さんの症状に関する追報道も気にかけていた。
第4話の『青い鳥』では、親がコンビニ経営している男子中学生(野口君)が、店の商品をクラスの子にたかり続けられ自殺未遂のあと転校する。
答えは、著書の中で明言されている。それは、キリストへの信仰だった。
そんな状況にあって『テロル』ヤスミナ・カドラ著は、久しぶりに一気に(といっても数日かかりだけど)読んでしまった本。
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